最初、世界には海しかなかった。
母なる島、女神テ・フィティが現れて、島々や生命を生み出した。
いのちを創造する女神、テ・フィティってのは
世界各地普遍的にある「地母神」信仰の、島国バージョンかな。
大地の母、マザーアース、そういう感じ。
創造の源はテ・フィティの「こころ」で、
渦巻きで表現されているのがおもしろい!
テ・フィティの「こころ」にある創造する力は魔物の標的になるわけだけど
ついにそれを盗み出しちゃったのが、Demi God(半人半神)のマウイ!
「こころ」を失ったテ・フィティは崩れ、闇が訪れた。
盗み出した「こころ」を持って逃げる途中、地球と炎の悪魔テ・カァに
襲われて「こころ」はマウイの持つ「神の釣り針」と一緒に海の底へ。
世界が闇に覆いつくされる前に、選ばれし誰かがサンゴ礁の向こう側、
テ・フィティのもとに「こころ」を返しに行かないといけない。
・・・と、おばあちゃんが語る伝説に目を輝かせるヨチヨチ歩きの女の子が、村長の娘で映画の主人公、モアナ。波打ち際で海とやりとり(?)をするシーンが、んまぁ、美しいことこの上ない!!
このシーンを見て「あぁ、主人公が海に選ばれしものなのね。冒険するのね」と心得るわけだけど、沖に出るなんてとんでもない!!!とモアナが海に近づく度に連れ戻すのが村長であるお父さん。
幸せな村、幸せな生活
Moana - Where You Are (1080p - 4k) [English]
幸せは足元にあるじゃないか。豊かな自然の恵み、分かち合う平和な生活、
みんな満足して幸せに暮らしてるし、なにが不満なんだ。
それにモアナには、次期村長という大事な役割もある。
そうそう、お父さんや村の人たちが言うことは、ちっとも悪くない。
むしろとってもイイこと言ってる。
この映画に出てくる乗り越えるべき障害、相手は必ずしも「悪」じゃない。
魔界で「釣り針」を取り返すために対峙したカニのモンスターだって、
憎めないやつだったし、ラスボスは・・・ほら、ねぇ。
You may hear a voice inside
And if the voice starts to whisper to follow the farthest star
Moana, that voice inside is who you are
自分の心の声が聞こえるかもしれない
もしその声が ずっと向こうの星を追えとささやくのなら
モアナ、その声が本当の自分なんだよ
村の変わり者、おばあちゃんはそう言ってくれる。
でも、モアナだって村に不満があるわけじゃない。
責任感だってあるし、次期村長の誇りも感じている。
We'll build our future together
Where we are
You can find your happiness right
Where we are
みんなと一緒に未来をつくろう
私たちのいるこの場所で
私たちの幸せは 今ここにある
自分に言い聞かせるように、次期村長の自覚をもって成長するモアナ。
自分の居場所と、遠い世界への憧れの葛藤
さてここで占星術ネタをぶっこんで物語を楽しんでみると・・・
家族や仲間がいる島、居場所は4ハウス(蟹座)ね。
対してモアナが惹かれてやまないサンゴ礁の向こう側、
手の届かない世界への憧れは9ハウス(射手座)。
4ハウスと9ハウスは150度(インコンジャンクト/クインカンクス)。
相いれない要素、噛み合わない方向性を表す関係。
9ハウス(射手座)的には、遠い海の向こう側に何があるのか知りたい!!と湧きあがる想いがあるだけで、今いる場所に不満や抵抗があるわけじゃないんですよ。でも「今ある繋がり」を大切にしたい4ハウス(蟹座)は一生懸命手を尽くす。
上の動画だとカットされてるけど、モアナの姿勢の切り替わりのきっかけに、「村の聖域」シーンがある。お父さんが連れて行ってくれた島で一番高いところ。そこに代々積み上げられてきた、村長の石。
私の父も、祖父も、曾祖父も、代々石を積み上げてきた。
お前が村長になって石を積むとき、この島はまたひとつ高くなる。
これがきっかけで、モアナの気持ちが向かう先は、遠い海の向こうへの憧れよりも、次期村長の責任と誇りに切り替わる。
この石を積み上げるシーンはとっても10ハウス(山羊座)的だなぁ!
伝統、積み上げる、社会を維持するシステムへの責任、大人の自覚。
社会的立場と与えられた役割
夢を追う9ハウス(射手座)の次に来る、
現実を見る、そして行動で示す10ハウス(山羊座)。
10ハウス(山羊座)は4ハウス(蟹座)の正面180度にあるハウス。
オポジション、常に意識する・される関係。
「常に」向き合うということで緊張関係と読まれることも多い。
次期村長という社会的立場、責任(=10ハウス)は
大好きな村のみんな(=4ハウス)がいるからこそ!
そして自分の役割を果たす、という意味で言えば6ハウス(乙女座)。
村長ってのは望む望まない関わらず、与えられた(望まれる)役割。
6ハウス(乙女座)と10ハウス(山羊座)はどちらも
現実を見据える「地」のエレメント。
ふたつは120度(トライン)調和的関係。
自分の果たすべき役割をこなすことが社会的な責任を果たすことに繋がる。
自分の役割を演じることに必死になると「夢」が障害になるし
逆もまたしかりなんだけど、その関係を表しているのが
6ハウス(乙女座)と9ハウス(射手座)が形成する90度(スクエア)。
モアナは村の聖域で10ハウス(山羊座)を強く意識して、
6ハウス(乙女座)にエネルギーを注ぐことで9ハウス(射手座)を
弱めることに決めた。そんな流れが楽しめる挿入歌でした!