ぞくぞくしちゃうコワイハナシ

マァーーーーマァァァーーーーー!!

 


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師匠の歌も文句なしに好きだけど、ゆうぞうお兄さんとしょうこお姉さんの歌声ver.もすさまじ。まじに凄まじい。

 

 8月の始まりと共に、すさまじい「環世界」に飲み込まれて、思考がうまく働きません。衝撃派をどうやって言語化せろと言うのだ。

 隕石の正体は、これ。

五十嵐大介のディザインズ。

 

海獣の子供、SARUにも衝撃受けたけど、今度はファンタジーとか空想世界の美しさ=不気味さじゃないよ。『ディザインズ』はリアルにあんまりにも近いから、起こり得る未来だから、ひじょーに気持ち悪く不気味で、かなしくて、美しい物語。

 

 

 

キーワードになるのが「環世界(ウムヴェルト)」。

 この短編集で、そのテーマへの想いというか、アプローチというか、著者の世界観が別の角度から楽しめた。ディザインズ読んだら続けて読むとおもしろい。

 

「環世界(ウムヴェルト)」ってのは、ニンゲン、犬、植物、虫、みんなそれぞれに違う世界軸の中で生きているってこと。時間の感覚も、空間の把握方法も、何を知覚して生きてるのか、生物それぞれに違う。なんなら、鉱物とか山とか、地球とかって規模で見ても、そう。

 

全く違う宇宙に生きてる。

 

人と植物、鉱物や大地とコミュニケーションがむずかしいのは、世界観(時空)のスケールが違うだけ。あれか、ワレワレが「次元が違う」って言ってるのと近いかな。

 

相手にとって1分1秒の世界が、私にとって1年に相当するなら、会話ができないどころかお互いの存在に気付けないかもしれない。

 

 

『ディザインズ』には「環世界」の拡張を「純粋に」追求するマッド・サイエンティストが主人公、になるのかな。いや、ボスキャラ?

世間一般の価値観(モラル)で見たら「胸糞悪い悪党」でしかないのに、「はい、こいつが悪です。こいつが正義です。ここが感動するところです」って指南してこないのが、SARUとかこの作品の圧倒的なスケールなのかも。

 

だから、スッキリしない。でも圧倒される。

圧倒されて、一生覚えてると思う。深層心理の深いところに刻み込まれちゃうような、そういう「影響力」がある作品、それが名作なんじゃないかとも思う。

 

印象の感想ばっかりじゃ訳が分かんないんだけど、ストーリーを書き出された「あらすじ」になると、「いや・・・確かにそうだけど・・・」となる不思議。

 

 たぶん、ダブルでもトリプルでもなく、ひたすらに色んな環世界を重ね合わせて透けて見えた「世界」を描いてるんだわ、この人は。

 

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ストーリーは、遺伝子組み換えによってヒト化した動物と、ニンゲンのハナシ。「ディザインズ」ってのは、策謀や陰謀のこと。

 

遺伝子組み換えブタとか、あれはSFじゃなくリアルにもうあるハナシってのがオソロシイ(笑)あ、笑えないか。その技術を持つ科学者のサイコパスっぷりが、一切ゆがんでない(!)ピュアな一貫性があって、それがまたオソロシイ。

 

正義とか悪とか、そういうスケールを超えて読まないと、苦しいかも。私はめちゃくちゃ面白かったけど。戦争とか殺戮シーンとか、グロい描写はそんなにない(あるけどそこにフォーカスしてない)けど、死の表現がすんごいコワイ。

 

欲望と策略、戦争、動物と家畜、ニンゲン、生と死。

海獣の子供』もそうだったけど、全く「こう読みなさい」と指南してくれない漫画なの。それがまた、コワイ(笑)

 

虫とか鳥とか動植物の描写の繊細さは、もはや画集。

生物の美しさを美化していないっていうか、不気味さとか残酷さとか含めて美しいんだな・・・と畏怖してしまう。ウットリする美しさ、とは違う。

 

こんなこというと高尚な芸術作品か!と敬遠されちゃうかな。いやいや、ストーリーもアクションシーンも面白いのよ!!キャラクターも変カワイイ。

 

 

夏にぞくぞくしたい人は、読むべし!!!!!