月と無意識と身体のつながり

 

漢字の部首で(ニクヅキ)は、身体のパーツとか肉体を表す。

脳、胸、肌、腹、肥、胎・・・

 

占星術の「月」にも身体ってキーワードがある、って書こうと思ったけど、厳密には違うか。医療が呪術的なワザだった時代、占星術ももれなくオカルト処方として活躍していたんだけど、そのときはとりわけ「月」に注目していたらしい。身体と結びつきが強いってことで、「身体」も「月」のキーワードのひとつに入れてもいいかな。

 

月(星)の影響力

月の影響力ってすごいでしょ。海の潮位を変えちゃうからね。地球の7割を占める海を、引っ張ってる。ニンゲンも7割くらいは水分で出来てる上に、成分比率は海に結構近い。赤ちゃんの浮かんでる羊水はなんと、海水とほぼ同じってんだから、ニンゲンの身体だってなにかしら影響受けるよね、って考えたのが占星術の初期だったんじゃないかな。

 

お空の環境に、ワレワレ影響受けてるぞ。月と太陽だけじゃなくて、遠くの星も何かしら関係しあってるんじゃないか、って。

 

Moonrise

 

占星術で「月」といえば「無意識」。

無意識ってのは自覚していない自分。心の働きのことを「意識」って言うんだけど、占星術は「心の働き=意識」をいくつかに分解して、星の動きに照らし合わせて眺めている

 

自覚できること=顕在意識(太陽)

自分でも気が付いていないこと=無意識、潜在意識(月)

記号(言葉や数字)を使うこと=思考、情報処理(水星)

外部と繋がることで生じる感動=幸福感、快楽、感受性(金星)

外部との境界線を守ること=怒り、免疫、行動力(火星)

・・・その他いろいろ。

 

フィードバックでしか捉えられない心の働き(すべては結果論)

漢字の例から、月は身体にも関係があるぞ、と書き出したけど、漢字ってのは東洋の感覚を記号にしたもの。アジア(東洋)は「月」に強いな・・・って最近めっちゃ思うのね。

宗教の変遷とか言語とか文化的特徴とか…それについてはハナシに収集がつかなくなるから、また別の記事で書くけど。

 

心の働きってのはただでさえ目に見えないし数値化しにくいものだから捉えにくい。その上、無意識は自分でも把握しきれていない領域。でも現実に与えるインパクトは意識できる心の働き(こうしよう、あれがいい、っていう意志)以上にデカイ

 

どんくらいでかいかって、遺伝子の働きを変えるくらいデカイ

 

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それでも無意識が発動している最中には気付けないわけだから、ワレワレはその「影響を受けた現実」を見てやっと気付くことができる。なんなら、でも目の前の現実も無意識が原因だって知らないからスルーしちゃう(そして繰り返す)んだけど。

後手にまわるしかない。つまるところ、結果論でしかない。

 

でもこの

無意識の心の働き→行動やリアクション→現実、結果→フィードバック(気付き)

までのタイムラグをできるだけ小さくすることはできる。

 

無意識=身体の反応

結論から言えば、身体のセンサーに敏感になればいい

 

見えない領域(無意識含む)との接点(自覚できるポイント)になるのは、「夢」と「身体」なんじゃない?って、前に書いたことがあった。

 

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私たちが「あぁ、暑いな。水飲みたいな」って思う。これは意識。

この意識が浮かんでくるほんのちょびーーーっと前に、実はもうすでに「暑い」「水くれ」って電気信号が脳の中で出てる。手を動かそう、って思う0.5秒前に身体はもう動かすことを決めている生物学者ベンジャミン・リベット氏が発見した「準備電位」

 

脳が心の働きを見える化してくれる部位だから特別視されてるけど、アレも臓器の一部だから。身体のパーツ。

 

身体の反応が先、意思は後

 

身体の反応ってのは意識する前の反応だから「無意識の反応」ってこと。無意識は意識の100万倍の情報処理能力って言われるのも、この情報に対する反応の圧倒的スピードと感度が由来してるのかな。気付いた時にはもう「決断」は下されている。

 

この無意識の領域を、占星術は「月」の領域と呼ぶから、なら月の領域に「身体」も含まれるな、って思ったんだけど・・・教科書的には「身体」は月の象意に含むのかな?どうなのかな?どっかで見たような気もするんだけど、「無意識と身体?どういうつながり?」って思ってスルーしてたかも。

 

「身の毛がよだつ」とか「鳥肌が立つ」とか体に力が入らなくなったり、逆になんだかよくわからないけど元気になったり、コトバに言い表せないくらいのビミョーな感覚ってのが、身体にはある。

 

しかも「意識」ってのは、0.5秒以下のものを全部ノイズとしてカットしちゃうらしい。なかったこと、になる。それすら拾い上げる「無意識」の感度と精度の情報処理スペックの高さ!

 

身体は、先に気付いている。そして反応している。

私たちは「無意識」の領域で起こっていることをダイレクトに「わかる」ことはできないけど、身体の反応をセルフモニタリングすることで「気づく」ことができる

 

しかもオモシロイのは、「無意識」にもその深さで分けると、意識にほど近い「すぐ思い出したり気付いたりできる」レベルの無意識から、「個別の肉体を超えて繋がってる」層まであるってこと。かなり広い範囲をカバーしている無意識層もあるぽい。

 

女の感とか、「え、ちょっと待ってなんでわかるの?!!!」って透視?とか、空間に制限されない情報(虫の知らせとか)。過去やはるか昔の出来事に繋がる時間に制限されない情報とか、それも無意識の層を意識の世界(=コトバ)に引っ張り込んできた情報。

 

コトバじゃなくても、漫画や絵画っていう表現技法、ダンス、音楽、芸術家のインスピレーションと言われるそういうセンスっぽいのも関係あると思う。

 

アクセスポイントは一方通行じゃない

身体の扱いがうまくなると、無意識の領域に振り回されにくくなる。

動物的本能を抑えて理性をメインに生きることができるようになって、ニンゲン社会ができたんだよね。「言葉ができたころから抑制の歴史が始まった」ってのをなにかで読んだんだけど、理性って論理のこと、コトバのことだから、確かにそうなのかも!!

 

脳の容量的に言うと、ニンゲンの脳は1400CCくらいで、150人くらいの集団が維持できる人数の限度のはずなんだよね。それをコトバ(理性)でくっつけることが出来るようになった。本能のまま生きてたら、こんなに集団(社会)は大きくできなかった。

 

無意識は意識よりお圧倒的な影響力を持つ、これは変えられない。

でも意識と無意識の影響は一方通行じゃない。これが救い。

 

例えば偉そうなポーズをとってると本当にエライ気分になる、みたいな実験もあった。姿勢が無意識(感情、気分)に影響を与える。

 

こわい!!って思うとき、恐怖の瞬間人は息を吸う。横隔膜が上に上がる。逆に息をゆっくり吐く、横隔膜を下げる(薬指を引っ張ると横隔膜が下がる)と、即席だけど恐怖を沈めることができる。だからリラックスするための深呼吸は、吐くのが先!

 

ちなみに恐怖とかトラウマを癒す方法ってのは、「慣れる」ことが「避ける」ことよりずっと効くそうです。これは戦争のショック(PTSD)を治療するために実際に実施されてることなんだけど、あえて思い出すこと。繰り返すこと(もちろん、ほんとうに小さな小さな刺激からスモールステップで)。そうやって「今はもう、大丈夫なんだ」と塗り替える。

 

振り回されないために、あえてアクセスする

日本の伝統芸能は、敗者の歴史をモチーフにしているものがすごく多い。能の演目とか、琵琶法師の歌う平家物語とかなんかいろいろ。あれはそうやって繰り返し「思い出す」ことで、鎮魂しているんだってハナシ。

 

歌い継がれている主人公たちはもう生きてない人たちなんだけどね。もう見えない存在になった人たちのために、見えない世界に働きかけるPTSD療法、それが鎮魂。

 

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で、無意識はある層で死んでる生きてる関係なく(時間と空間に制限されないから)繋がってる部分があるわけで、彼らが癒され鎮められることで、生きてるワレワレ、演者も観客も無意識レベルで癒され鎮められている、ってこと。

 

その見えない領域の取り扱いというか、そういう技術的なこと、日本(アジア諸国もそうかな?)は得意だったんだなーって感動してる。神社とか、寺とか、ほぼほぼ鎮魂施設じゃん。

 

恋愛運とか金運とか言って拝むけど、だいたいはアレ、敗者の歴史を思い出す場所。無意識領域の存在が、こっちに悪影響を与えることを「呪い」と呼んでいたわけだけど、それを封じるために建てたり祀ったりしてるわけだから、封印。

 

神(神社のカミ)は封印された無意識、ともいえる。

 

恐怖を乗り越える便利なワザ

赤ちゃんが繰り返し遊ぶ大好きなアレ、いないいないばあ。あれってあえて「母親がいなくなる」不安を繰り返して、「でも大丈夫」を繰り返して、心の中に「大丈夫」のイメージをつくることで精神を安定させるスバラシイ術。

 

具体的な目の前の出来事とはちがうけど、それに「重なる」イメージ。見立てるチカラって言うのかな。実物じゃないけど、実物に例えたりなぞらえる想像力。

ニンゲンを爆発的に進化させた起爆剤、想像力=見立てるチカラ。一見関係ないこと動詞の結びつきを見つけ出すチカラ。兆候を読むチカラ。(コンステレーション!!)

 

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見立てるチカラの最たるものが、「コトバ」だった。

あの赤くて丸くて甘くておいしいフルーツのイメージを、「り」の音、「ん」の音、「ご」の音の組み合わせた音の集まりに結び付けられるようになった。記号に意味を乗せて伝えられるようになった。これってマジでスゴイ。

 

身体の反応に敏感で、見立てるチカラも身につけた時代の人たちってのは、無意識の領域(見えない存在とか、チカラとか)が身近だったに違いない。妖怪とか、妖精とか、呪いとか、魔術とか。

 

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無意識にアクセスする達人は子ども

またまた終わりが見えなくなってきたから、今日はこれで最後にする。

 

「いないいないばあ」で精神科医の名越先生が子どもの精神分析をしてる動画があったきがしたけど、「かくれんぼ」だった。

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息子を見てて毎日感心するけど、やつらは「月」の世界で生きてるんだよね、ほんと。無意識と意識の境目がまだハッキリしていない。身体の扱いは未熟なんだけど、身体に対するセンスはまだ閉じていない。(大人はだんだん閉じてくる)

 

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身体のセンサーが閉じてくるって言えば、英語「耳」でイメージしやすい聴覚。あと、味覚。子どものころ食べたものをオトナになっても好んで食べる本能。

 

 

子どものリアクションとか、動きとか、何に注目しているのかとかを観察していると、めちゃくちゃオモシロイ発見がたくさんあるよ。小さい子が近くにいたらぜひ、彼らの五感を借りて「今は見えなくなった世界とのアクセスポイント」を探ってみよう。

 

 

「英語耳」に関して・・・

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身体のセンサーを敏感にすることが、リアルに生命力(健康面、精神面、学習能力)を高めるぞってハナシはこっち。

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