サルベージ!!!

力をも入れずして、天地(あめつち)を動かし、

目に見えぬ鬼神をもあはれと思わせ、

男女の仲をもやはらげ、

たけき武士の心をもなぐさむるは歌なり。

古今和歌集

 

天地、あの世系の存在、異性、いきりたって絡んでくる輩、そういう「全くハナシが通じない」コミュニケーションがムズカシイ連中であっても、心をやわらげ、動かすこともできるのがである。

 

 

能楽師の安田登せんせの古典はどれも解釈がオモシロい。

古今和歌集のこの冒頭の紹介文は歌のすごさ、歌に秘められたチカラについて言ってるんだけど、ここに出てくる「歌」はね、SONGの歌じゃなくて「打つ」「訴える」という意味を秘めた「歌」なのだってハナシ。

 

相手に(例えそれが霊や紙など声の届かない相手だったとしても)自分の想いを訴え、そして打つ(感動させる)のが「歌」なのです。

 

だから日本の古典でいう「歌」は、SONGというより「呪詞」に近い。

とはいえ安田せんせ的には「言霊(言葉には魂が宿っていて、発した言葉が実現される)」という考え方はロマンチストすぎる、というかそんなに古いアイディアではないそうで。

 

言葉を発するだけで神霊は動かないが、ある「技法」がそれを可能にする。それが呪詞たる「歌」、さらに言えば、歌にふんだんに散りばめられる「修辞法」(掛詞、枕詞)なのだ、ってのがせんせの説。

 

ここでひとつの和歌を例に挙げて、掛詞や枕詞によって「印象」と「現実」を行ったり来たりする仕掛けが紹介される。具体的な「経験、体感」と抽象的な「意味」がフィルター状に重なるコトバの仕掛け。

 

その例が、藤原定家の和歌。

来ぬ人を 待つほの浦の 夕なぎに

焼くや藻塩の 身もこがれつつ

 

最初に「来ぬ人を待つ」と切り出して、その「まつ」が「松帆の浦(淡路島)」の「松」に同時に重なる。

目の前には夕なぎの海岸。風がやんで、磯の香りがむわっとする時刻。そんなときに松帆の浦では藻塩が焼かれている。

そこで焼かれる藻塩のコトバから再び重なる自分の立場。藻塩はめらめらと燃える炎の中で焼かれ焦がれ、自分も待ち人を想い身を焦がしている…。

 

全く違う場面が、溶け合うようにごく自然に、それなのに唐突に変化していくのが掛詞。安田せんせは、これってまるで「夢」じゃないかと言う。眠ってみるあの夢。場面がふいに変わっていく、無意識と意識の狭間の世界

 

出た!夢!

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『Cosma Visions Oracle』のThe Dreamer(夢見人)はソードのクイーンにあたるカード。ソードは剣、風のスート。言語を司る女王だよ。これもきっと、ここでいう「歌」的なパワーを司る人の象徴なんだろうなって思う。

 

そうそう、『天才IT大臣オードリー・タンが初めて明かす 問題解決の4ステップと15キーワード』の中で最後のキーワードが「死と向き合う」だったんだけど、その中で彼女が「私たちは毎日死を経験している。それは『眠り』だ」って言ってて。

毎晩眠りにつくとき、「手放す」練習ができるって言ってたの。

 

ちなみにCosma Visions は「死」のカードから始まることが特徴的なデッキ。

それは「眠り」、それは「夢」。それは意識と無意識の狭間をつなぐふしぎな空間。

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『野の古典』で読んだのは和歌の章「第十講 呪詞としての和歌」まで。

安田せんせは「呪詞」と表現したけど、「呪」はおどろどおろしいネガティブな影響力だけを指しているんじゃないのは言わずもがな。和歌って恨みつらみだけじゃなく、愛やら恋やらもしっぽり歌ってるんですから。

それでモテレベルを競ったりしてたんだし、鳥の求愛行動としての「歌」にだって近い。

 

鳥の求愛行動の歌をヒントに「コトバの起源は歌だった」説を提唱している言語学者と言えば岡ノ谷せんせだなッ!!

 

「意味を乗せる記号」としてのコトバより先に、「感情を身体を通して響かせた音」としてのコトバが先にあったんじゃないか、って説は私も支持してる!

水星より先に月がある。

 

 

ちなみに現代の「呪」って言葉は「歌(コトバ)」の持つネガティブな影響力だけを引き受けて、もう一方のポジティブな影響力を意図したものは「祈」と言い分けられるようになった。

この「呪いも祈りも根っこは同じ」って考え方は内田センセのハナシ。

 

日本語でも古代エジプト語でも英語でも、同じものを全く正反対の言葉で表現したり、全く正反対な性質のものをひとつの言葉で表現したりすることがある。

 

これは内田樹せんせの本の締めくくりに書いてあったことなんだけど。 

「腐敗」と「発酵」って、どっちも腐ってる状態なんだけど、受ける印象が全然違う。いや、表現しようとしている印象が違うのか。発酵してるっていうと身体に良さげだけど、腐敗してるって言われるとそれだけで不快な悪臭に感じる(笑)

 

ちょっと昔の「手前」ってのはYouとMe、正反対のものどっちも指す言葉。古代エジプト語で「ケン」と言うと、大きいものと小さいもの両方の意味を持つらしい。

 

正反対の意味、印象をどうやって使い分けるのかと言うと、それは文脈。捉え方を変えれば、正反対の存在になってしまうコトバのマジック。

 

ラテン語の「sacer」は、聖なるもの「sacred」の語源なんだけど、この言葉には「呪い」や「恐ろしいもの」「穢れ」という意味も含んでいる。

 

聖なるものと穢れとか呪いって正反対の性質なんだけど、根っこというか存在感と言うか「絶対値」が同じなのね。(-5と+5は正反対にあるけど、絶対値は同じ5)

 

 

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あ!この⇧過去記事も「夢」のハナシから始まった内容だったな・・・!

 

昨日も最後はドリームタイム夢十夜千夜一夜物語・・・と「ソングライン」に流れ着いていたじゃあないか!!!いたるところに埋め込まれた伏線。

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そしてお互いの伏線回収の近況をシェアしているYさんから・・・

 

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サルベージ!!

そうそう、それだ!と書きながら思ってたの。

 

サルベージってのは、沈没した船舶の引き揚げや回収作業のことを表す英語なんだけど、千夜一夜物語をベースにした小説『熱帯』のキーワード。

 

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まだまだ繋がっていくよ、伏線は。

そんでもって「回収」してるようでいて、どんどん謎が謎を生む。だって単線じゃないんだもの。タイムラインは。マルチに広がる世界を楽しむ今日この頃。

 

一本にまとめあげられて完結するわけじゃない。

 

ツアーは前に前に進むとは限らない。

だってミステリーだもの!!一本線とも限らない。にじんだ墨絵みたいにどっちともつかないままに、進行していくよ。

 

一本線に結論に向かう(まとまっていく)のは現世(うつしよ)。

常世(とこよ)はまとまりもほどけもしない。混沌!

 

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同じようなところを行ったり来たりしているような気もするけど・・・

 

と思ったけど、そのアンサーソングも来てた。【宇宙からのギフトを読み解くプロジェクト】で出会ったホロスコープ入れ子の特徴があってね。LINEでやりとりをしてまたその構造を確認する機会が今日あったの。

 

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そうそう、まさかの私の母シンクロ、そして父シンクロだったあの2件。ふたつとも表現は全く違うけど「入れ子の世界」が特徴的だったっけ!

 

それをこのタイミングで思い出して、確認したってこと。これが「同じところをぐるぐるまわってる?戻ってる?」って問いに対する、アンサーソング。平面で見たら行きつ戻りつしてるけど、別の角度から見たら全く違う場所に移り変わってる。

次元を変えることで気付ける変化。

 

アンサーソングはところどころ重なる情報で、これぞまさに歌の仕掛け。

来ぬ人を 待つほの浦の 夕なぎに

焼くや藻塩の 身もこがれつつ

 

重なりつつ全く違う場面に切り替わっていく、「夢見」の世界。ドリームタイムをつくる「歌」の力。わ~~~~!すごい、繋がってる!!

 

 

あ!!忘れるところだった。

今日は冒頭の引用から、「音声配信を再開しよう」ってハナシを書くつもりだったの。

 

力をも入れずして、天地(あめつち)を動かし、

目に見えぬ鬼神をもあはれと思わせ、

男女の仲をもやはらげ、

たけき武士の心をもなぐさむるは歌なり。

古今和歌集

 

あ、で、もいっぺん引用してまた別のこと思い出した。

「分かんなくてもいいけど、とにかく、わたしたちは、聴いてる人に自分たちの歌を届けようとは思ってないわけ。

ましてやメッセージを押し付けようとも思わないし。
絵描きの絵とかも一緒じゃない?

テーマとか意味とか質問するのに意味はないのよ。
かといって伝えたいことがないわけじゃなくてね。
隕石としか言いようがないけど。

わたしたちの歌は、空からでっかい意志を運んでくるわけ。
聴いてる人の胸にその隕石をぶつけるの」


「隕石ってのは、『遠くから降ってくる大事な感覚』のたとえだよ」

SOSの猿 (中公文庫)

 

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Save Our Ships

わたしたちの船を助けて。

Save Our Souls

わたしたちのタマシイを助けて。

 

私のホロスコープとの向き合い方のモットーみたいなもの。

あ!!!サルベージ!!!

 

サルベージは沈没船の引き揚げ作業だけじゃなくて、 遭難した船の人命・船体・積み荷などを救助すること、海難救助って意味もある。SOS。

 

ホロスコープ読むの、今度こそ辞めよう…って思ってた今日という日に、「サルベージ」のキーワード、ここに繋がってくるかぁ。まだ勉強すべきことが残ってるんだね。。。

 

最初に書こうと思ってたハナシに辿りつかないのは、一旦このメッセージを経由する必要があったから、なのかもしれない。

ってのも、以前のPODCASTを消して、占星術色をすっかり漂泊色抜きした「読書ネタ」で作り直そうって思ってたから。

 

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BOOK CAFEの音声バージョン。もちろん、屋号はそらふね(STAR SHIP)のまま!

移動図書館のサルベージ船・・・

 

 

本の要約とか感想を私がマシンガンするんじゃなくて、その場で合いの手を入れたり質問してくれる聴き手がいればいいなぁって思ったのよ。それを呟こうと思ってたのが、こんなに長いブログ記事に・・・(笑)

 

読んだ本のアウトプットに、誰かに話すこと以上にイイ方法はない。

読書会してて思うのは、自分以外の誰かの視点を聞くオモシロサ。なんなら、読書会の会話をそのまま音声配信してもオモシロいんじゃないか、とも思ったの。

 

来週で『モモ』も読み終わるけど、第一回も第二回もすごく楽しかった。

今度は「読書会の音声配信」みたいなプロジェクトもできないかな~って。全員読んできて参加するタイプじゃなくて、私が読んだ本をネタにしてもいいし。

 

 

まぁ、またこのアイディアこねこねしてみようと思う。

私喋るのむ~~~ちゃくちゃ下手で、確実にあうあうするから、ステップバイステップで一緒に練習しよう!って感じで付き合ってくれる人、求むことになると思う( ´艸`)

 

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そんでもって明日からまた続きを読む『野の古典』次の章が「平家物語」・・・!!!んもう、またまた船(海)のハナシじゃねーかよう!!

 

⇩このアニメは見れてない( ;_;)

我が家のネットフリックス契約解除されてて無念。

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